「除菌した後、検査はどれくらい経ってから受ければいいですか?」
外来でもよく聞かれる質問です。
結論から言えば、抗菌薬を飲み終わってから4週間以上空けて検査するのが基本です。
この“間隔”がとても重要なのには、ちゃんとした理由があります。
ピロリ菌の除菌や再感染、胃カメラフォローまでまとめて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

除菌後すぐの判定は“陰性”でも安心できない
ピロリ菌の除菌判定に使われる「尿素呼気試験」や「便中抗原検査」は、非常に感度の高い検査です。
しかし、除菌後すぐに行ってしまうと、菌が一時的に減って“陰性っぽく”見えるだけで、実際は生き残っていた――ということがあります。
このため、除菌薬の服用が終わってから少なくとも4週間以上空けて検査を行うのが推奨されています。
胃薬(PPI)や他の抗生剤も検査に影響する
除菌の際に使われる「胃酸を抑える薬(PPI)」は、ピロリ菌の活動を抑えるため、検査前には2週間の休薬が必要とされています。
また、風邪や他の感染症で別の抗生物質を飲んでいる方も注意が必要です。
抗菌薬の影響でピロリ菌が一時的に減って検出されにくくなる可能性があるため、他の抗生剤を飲んでいた場合も、内服終了後4週間あけてから検査を受けるのが安全です。
何で判定するのが正確?検査法の違いも知っておこう
除菌判定には、尿素呼気試験(UBT)や便中抗原検査が使われます。
どちらも高精度で、大きな差はないとされています。
UBTは結果が早く出やすく、成人に多く用いられます。
一方、便中抗原検査はPPI(胃薬)を続けていても検査可能で、小児や高齢者にも適しています。
検査法の選択は医療機関や患者さんの状況に応じて変わるため、主治医と相談して決めるのが安心です。
【まとめ】
- 除菌判定は、抗菌薬終了から4週間以上空けてから!
- 胃薬(PPI)は検査前に2週間中止が必要
- 他の病気で抗生剤を飲んでいた場合も、終了から4週間空けるのが安全
- 胃薬を休薬できない場合は便中抗原検査が有効
- 正確な判定のために、タイミングと検査方法の選び方が大切!
ピロリ菌の検査や除菌治療、再感染の心配についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

※本記事は、一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。
健康上のご不安がある場合は、必ず医師の診察を受けてください。
参考文献
- 日本ヘリコバクター学会ガイドライン作成委員会(編).
H. pylori感染の診断と治療のガイドライン 2024改訂版. 先端医学社, 2024. - 日本ヘリコバクター学会ガイドライン作成委員会(編).
H. pylori感染の診断と治療のガイドライン 2016改訂版. 先端医学社, 2016.
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