こんにちは、気ままな勤務医です。
健康診断や人間ドックで「胃のポリープ」を指摘されたことはありませんか?
外来では、こんなご相談をよく受けます。
「胃のバリウム検査でポリープを指摘されたのですが、治療しなくていいんですか?」
「妻は同じようなポリープで経過観察だったのに、私は要精査と言われました。何が違うんでしょうか?」
実は、できるポリープの種類や見た目によって対応が変わってくるのです。今回はその違いを、分かりやすく解説します。
胃底腺ポリープ
これは、ピロリ菌の感染がない、きれいな胃粘膜にできるポリープです。胃がんリスクは非常に低く、基本的に治療の必要はなく経過観察のみで問題ありません。
ただし、以下のような場合は注意が必要です:
- ポリープが急に大きくなっている
- 表面にデコボコや凹凸が目立つ
このようなケースでは、がんとの区別のために生検(組織の検査)を行うことがあります。
📌最近では、PPI(胃薬)の長期使用が胃底腺ポリープの増加・増大と関連することが指摘されています。
また、「家族性腺腫性ポリポーシス」という遺伝性の疾患では、胃の中に無数の胃底腺ポリープができます。通常の胃底腺ポリープとは異なり、がん化のリスクが高いため、通常より短い間隔での定期検査が必要となることがあります。
過形成性ポリープ
こちらは、ピロリ菌に感染した胃に生じる赤みの強いポリープです。
ピロリ菌と密接に関係しているため、まずは感染の有無を確認しましょう。
- ピロリ菌がいる場合は、除菌治療で約80%のポリープが縮小または消失するとされています。
- 大きなポリープ(10mm以上)では、**がん化の可能性が約2%**あると言われており、定期的な観察が推奨されます。
- 表面に不整な部分や、色の変化がある場合は、生検による詳しい評価を行うことがあります。
さらに、以下の方は注意が必要です:
- 透析治療中の方
- 抗血小板薬や抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を内服中の方
これらの方は、ポリープからの出血や貧血のリスクがあるため、除菌治療や内視鏡的切除が検討されることもあります。
まとめ
- 胃にできるポリープの種類は、ピロリ菌の感染の有無によって異なります。
- 胃底腺ポリープ、過形成性ポリープいずれもがん化はまれで、多くの場合は治療不要です。
- ただし、ごく一部では出血やがん化の可能性があるため、必要に応じて切除されることもあります。
- ピロリ菌陽性の場合は、まず除菌治療を行いましょう。
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よくある質問
Q. 胃のポリープが症状を出すことはありますか?
A. 胃底腺ポリープや過形成性ポリープ自体が症状を出すことは基本的にありません。
ただし、過形成性ポリープの背景にある、ピロリ菌による慢性胃炎により、胃もたれや不快感を感じることはあります。
※ご注意
本記事は、一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。
ポリープの種類や経過観察の方法については、必ず主治医とご相談ください。
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