医者って日中何やってるの?|とある消化器内科医の一日【外来・診察編】

医師が女性患者に外来診療を行っている写真 コラム・エッセイ

※この記事は、前回のエッセイ「医者って裏で何やってるの?とある消化器内科医の1日【出勤〜朝のルーティン編】」の続編です。

▷ 前回はこちら
医者って裏で何やってるの?とある消化器内科医の1日【出勤~朝のルーティン編】


朝の病棟業務をなんとか終わらせ、時計はもうすぐ9時。
今回は、そこから始まる “外来診療のリアル” をお届けします。

外来で医師が何をしているのか? なぜ診察が押してしまうのか?
そんな裏側を、ちょっとだけのぞいてみませんか?


朝の病棟業務を大急ぎで終わらせ、9時までに必要な書類や診察グッズを用意して、自分の外来ブースに到着。
ここからはひたすらに喋り続けるため、水分補給のお茶と、糖分補給の午後ティーストレートを患者さんから見えない位置にセット。
途中で糖分が切れると、ぼーっと脱力してしまう私。
ダイエット中ですが、この午後ティーだけは必須です。


そして、普段はスクラブ(山Pが着てるやつ)オンリーの私ですが、外来では少しオシャレな高めの白衣を必ず着ます。
人は見た目が◯割っていいますもんね。
若い方だとスクラブ姿に好印象を持ってくれる方も多いのですが、高齢の方には違和感を持たれることも少なくありません。
身だしなみは、こちらとしても最低限の礼儀かなと思いますし、第一印象が悪いと職業柄、得することはまずないですからね。


病棟スタッフには、私の白衣姿は珍しいので、「白衣=外来 or 体調不良」と思われがち。
“しごでき”のリーダーナースさんは、白衣姿の私を見かけると「今日は気ままな勤務医先生は外来ですので、みなさん配慮をよろしくお願いします」とスタッフに申し送りまでしてくれます。
ほんと、神です。
後編を読んでいただけたら、理由がわかるかも?


ようやく準備完了。
みなさんが朝早くからお待ちいただいているのは重々承知なので、なるべく定刻前から外来をスタートします。


最近の診察室への呼び入れ方法も、ずいぶん変わりました。
事務の方が呼びに来てくださるスタイルの病院もあれば、マイクで「〇〇さん、何番診察にお入りください」と呼び込む病院も。
マイク制度、慣れるまでは緊張するんですよ。
他の先生と被ったりすると、申し訳ない気持ちになるし…。
でも、それぞれの呼び出し方に個性が出て、個人的には好きでした。


今は個人情報保護の観点から、番号やベルでの呼び出しが主流になってきましたね。
呼び出してから入室までに時間がかかるのが難点ですが、これも時代ですね。


さて、患者さんが入室されました。

総合病院の外来は、基本的に予約制。
初診以外の患者さんとは、すでに顔見知りです。
なのでカルテには、バッチリ予習がしてあります。
初診時からの経過や既往、現在の主な問題点、今後の検査予定や治療方針。
すべて予習の際に簡潔にまとめて記録してあります。


患者さんに病状をうかがい、こちらの想定どおりの経過なら一安心。
検査結果の説明や今後の予定をお伝えしつつ、電子カルテで次回の予約、処方、必要な検査の予約を次々とオーダーしていきます。


画像検査(CT、MRI、エコーなど)の予約では、撮影部位や撮影方法、患者さんの経過や重点的にチェックしたい点などを放射線科の先生や技師さんに伝える必要があります。
これが地味に時間がかかるので、予習の段階で入力文を準備しておいて、コピペで済ませられるようにしています。


後日入院が必要な方には、ベッドの予約オーダーや、個別の食事指示(減塩、糖質制限など)も入れておきます。
また、造影CTや一部の検査・処置では、説明後に同意書を二部用意して署名・捺印をもらう必要があります。
病院によっては、説明医の欄の自署の横に印鑑が必要なことも…。
印鑑、そろそろ廃止してくれないかなー。


経過が順調な方は、テンポよく診察を進めます。
30分枠に3人が病院が標準で設定している予約枠ですが、実際は6〜8人予約が入っていることも珍しくありません。
一人ひとりにもっと丁寧に時間をかけたいのが本音ですが、午後の処置や検査の時間が決まっているので、どうしても急ぎ足になってしまいます。


「3分診療」と揶揄されていることも知っていますが、私たちにもノルマはあるのです。


だからこそ、このブログを立ち上げました。
今はネットやSNS、AIで専門医顔負けの情報もすぐ手に入ります。
でも、過度に不安をあおる内容や、間違った情報も少なくないのが現実。
せめて自分の守備範囲だけでも、外来の補足になるような、正確でわかりやすい情報を発信できたらと思い、このブログを始めました。


(後編へつづく)

→ 後編はこちらからどうぞ

医者って日中何やってるの?|とある消化器内科医の一日【午後の告知外来とひっきりなしのPHS】

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