「医者って外来で患者の診察をしてない時、何やってんの?こっちはわざわざ仕事を休んで外来予約してるのに、なんであんなに待たせんの?」
「先生って朝回診に来たら、夕方まだなかなか会えないからねぇ。どこで何してるのかしら?」
”医者って裏で何やってるの???”
これ良く飲み会で友人に質問攻めにされます。健康相談と並んで、我々医者がよくきかれる質問です。
外来で診察している姿や、ドラマで見るような手術シーンなどは思い浮かべやすいと思いますが、外来の合間や病院内の様子はなかなか想像しづらいのではないでしょうか。
通院・入院の常連さんには、我々の出没範囲の広さにびっくりされる方も多いです。
今日は平凡な消化器内科医である私の1日のスケジュールと、皆さんに見えないところで何をやっているかを紹介したいと思います。
ドラマでは描かれない我々の日常は、地味の一言で尽きるかも・・・
出勤
子供を保育園に送り届けた後、電車で勤務先に向かいます。
我々医療職は服装の規定は特にないため、ラフな格好で通勤することが多いです。
仕事中との落差が激しすぎて、同僚に会っても気づかないなんてことはザラです。
病院で「〇〇先生朝電車で見かけましたよー」とか言われると、恥ずかしすぎて逃げだしたくなります。
たぶん携帯で漫画読むかポケポケしてたな…
職場に着いたら更衣室に直行し、お着替え。昔はケーシーなども来ていましたが、今はスクラブ(山Pが着てたやつ)一択。
断然動きやすくて快適ですね。
もう戻れません。
でも、ご高齢の方にはあんまり評判良くないんですよねー。
朝回診
着替えたら病棟のナースステーションへ。
電子カルテがたくさんあるので、そこで受け持ち患者さん達の前日夜からの経過を追って行きます。
熱が出てないかな、血圧や酸素の値は下がってないかなとバイタルサインと呼ばれる指標をチェックしたり、食事量や排便回数なども確認します。
利尿剤を使っている患者さんだと体重や尿量もチェック。
身体に胃管やイレウス管などのチューブが入っている方だと、排液の量や色も確認します。
これら全部点滴のメニューなどに関わってくるんですよね。
みなさん点滴の量・種類が減ってきたら順調だと思っておいてハズレはないと思いますよ。
続いて採血結果の確認、これが1番重要ですね。
前日までに点滴や抗生物質などの薬剤指示を入れているのですが、あくまでも予想で入れています。
採血結果を見て予想に反した場合は適宜オーダーを変更していきます。
場合によっては緊急で当日の処置・手術の追加をします。
結構データと患者さんの様子次第で当日決まることも多いです💦
病院によっては早朝(夜勤帯)に採血してくれる所と、午前中(日勤帯)のうちに採血する病院があります。
少ない夜勤看護師さん達の負担を考えると申し訳ないのですが、ドクターからすると早朝採血をしていただけるとマジ助かります😭。
昼前に採血結果出ても、忙しくてチェックできなかったり、翌日の指示出し間に合わないことがあるんですよ💦
今の病院のみなさん、本当にありがとー!
だいたいこのタイミングで、夜間(当直中)緊急入院した患者さんの担当が割り当てられます。
救急外来での経過や各種検査結果を把握し、今後の治療方針を決めます。
また、今の病院ではチーム制での診療を行っています。
ベテラン、私中堅、若手(専攻医)+研修医というチーム構成で、3〜4チームありますね。
チーム編成は医局人事や研修医の人数で適宜変わります。
同じチーム内の他の先生の患者さん情報も合わせて拾って行きます。
8時
チームで全担当患者さんと、夜間に緊急入院となった患者さんの回診をしていきます。
みなさんが嫌がるあれです。医者が突然うわーっと来て、一方的に話をして去っていくやつ…
大変評判悪いのは知っております💦
なるべく驚かせないように決まった時間に回診をするようにしているのと、呼びかけてお返事をいただけるまではカーテンを開けないようにしています。
少ないプライベート空間に、いきなり入られるは誰でも嫌ですよね…
でもこの回診はとても大事なのです…
看護記録や、採血のデータである程度状態は把握していますが、最終的には自分の目で得る情報が1番です!
顔の表情や声の出方、呼吸の早さや発汗量などで、パッとみで重症度を把握。
腹痛のある患者さんでは触ってお腹の張りや痛みの出方、範囲が前日と比べてどうなっているかを把握し、データとの照らし合わせを行います。
過去の経験から、予想通りの順調な経過を辿っているか、イマイチなのかを判断します。
なんだかんだ言っても医療は経験がかなり大事です。
一方で落ち着いているとわかっている患者さんや、検査入院などで合併症なく近々退院する患者さんには「お変わりないですかー?」ですぐに終わってしまうことが多いです。
医者の滞在時間が短いと、安定している証拠だと思いますよ。
また回診中は廊下や階段、エレベーターなどで下の学年の先生や研修医の先生達に指導を行ったり、逆に質問攻めにされるようにしています。
ここで自分なりに下調べをした上で質問をしてくる専攻医や研修医の先生達は、可愛がられますぞ!
逆にとりあえず適当なその場しのぎの質問だけして成長していなかったり、何も質問がないと……
みなさんの職場でも同じですかね?
回診が終わると病棟に戻って再び電子カルテへ。
9時の病院の営業開始までのこの時間が1番慌ただしいです。
カルテチェックと回診の結果で当日の点滴や薬剤を変えたい場合は電子カルテでオーダー。
当日変更した内容は全部担当看護師さんに連絡しなければならないので、各病棟に直接行ったり、PHS(今も病院では現役です)で報告をします。
また採血の追加項目やレントゲンやCT、内視鏡検査などの画像検査の追加もそれぞれ各部門に連絡します。
「もっと早い時間にやればいいじゃん!」と思いますよね。
私も毎日思っています。
でもこれ日勤帯の開始時間から受付開始というルール(夜勤帯は人が少ないので緊急以外は受け付けない✖️)のため、8時半から9時までの30分でやるしかないのです。
また緊急で当日の処置が決まった患者さんには、病状説明と同意書の取得をします。
コロナ以降はご家族には電話でお話しをし、同意を得ることも増えました。
夜間帯の担当先生が消化器内科でなかったりすると、事前に処置の同意書まで取ることは難しいのでここでやるしかないですね。
夜に緊急入院した患者さんが重症だったり、当日処置が必要な場合はバタバタですよ、ホント…
ここまでを終わらせないと、朝9時開始の外来に遅刻してしまいます。
外来の日はいつもより早く出勤して絶対間に合うように準備してるのですが、そういう時に限って病棟の患者さんが具合悪くなったり、緊急患者を振られるのですよ…
こればっかりは仕方がない…
この時間に下の先生達にゆるゆると相談とか質問を受けると、たぶん目がファイヤーしております。
研修医の先生達、タイミングは重要ですよ。
勿論緊急性が高い場合は遠慮なく来て欲しいですけど^_^
こうして何とか朝の病棟業務を終わらせ、ようやく外来へと向かいます。
思いのほか長くなってしまったので、今回はここまで。
次回はいよいよ外来診療に突入です。
予約制でもなぜお待たせしてしまうのか、診察の裏でどんな仕事が進んでいるのか。
少しでも皆様のご理解につながったら幸いです。
是非次回も読んでいただければ幸いです!
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